日々のビジネスにおいて私たちはさまざまな課題や問題に直面しています。常にビジネスの現状を認識し、変化を観察し、どう対応するかを考えなければなりません。取り巻く環境は常に変化していますので、周囲の変化を監視し、自分たちへの影響を予測し認識しなければなりません。周囲の変化に対しては積極的に対応し、有利な状態を維持することによって、ビジネスを優位な状態に維持することができます。
このような日々の環境を監視し、理解し、判断していくためにはビジネスに参画する人々の積極的な状況認識と行動が必要です。変化を感知し、行動することはすべて人の「意識」から始まります。意識のないところには何も起こりません。ビジネスの変革は人の意識から始まります。ビジネスの基盤はすべて「人」にあるのです。
意識と思考と行動力が変革の基盤
日々の行動には「何かをやりたい」というような自発的な意識と、何かのニーズによりしなければならない行動、「何かが起こっている」ので「その対応をしなければならない」というような外部変化の認識に伴う行動などがありますが、いずれも人の「意識」が課題や問題への行動の出発点です。出発点において大切なのは、直感的に行動するのではなく、まず状況を認識した上で、これから実行しようとすることの全体概念を描くことが必要です。ここでは多角的な側面から思考し判断することです。関係する人たちの意見を求め議論することは見落としを防ぎ効果的ですが、そのうえで真に必要な行動は何かを自ら思考することが必要です。先行する事例があれば参考になりますが、全く同じ環境や条件での事例はほぼありませんので、自分たちの置かれている環境において自ら考えなければどこにも答えは書いてありません。全体概念を描いたならば実行の行動に移らなければなりません。行動しなければ何も生まれません。このように、出発点となる「意識」、概念と計画を構築する
「思考」、実現するための「行動力」がビジネス変革の基盤となる要素です。
全体をリードする経営層の意識
ビジネスのほとんどは組織を中心として運営されています。組織の規模は数人から数十人の小規模な組織から数百人から数千人を超える大規模な組織まで多様ですが、一つの運営体制として同じ概念に基づいて行動する組織が基本となります。このような組織において目標を持った何かを実行する場合にはその基礎になる概念から具体的行動に至るまで、全体の整合性のある連携をもって実行しなければ効率よく目標に到達できません。そこには連携の取れた思考と行動が必要です。そのためには組織をリードする経営層の意識と行動、特にトップマネジメントのリードが不可欠です。同じ概念と目標を持って連携した行動
で全体をリードすることにより効果的かつ効率的に矛盾なく実行することができます。トップマネジメントのリードによって、参加者全員に対して、行動の基本概念、行動の目標、行動の具体策などを共有するとともに、行動意識の側面から参加者の実行意識を鼓舞することができます。
トップの明確な意思表示は推進力をもたらす
人々はそれぞれの個性があり、それぞれの考えや意見を持っています。組織では何かの目標に向けて行動をするときには、多くの人たちの意見を統一しなければなりません。多くの議論や検証により決定された要求や目標に対して、決定の過程や実行の過程においても責任者の適切なリードと調整が必要です。専門家が中心になって意思決定を進めた結果であっても最後の責任者は計画を承認したトップマネジメントです。議論の結果としての決定であってもトップマネジメントは自分の意志であることを参加者全員に責任をもって宣言する必要があります。組織全体の意思表示として一つの目標を提示しなければなりません。
トップの意思表示は推進力の源です。統一された目標に対して、推進に必要な人材の確保、必要な費用の配分、設備や施設を準備する義務があります。その結果トップマネジメントの意思が参加者全員に明確に伝わり、実行を容易にすることができます。
ボトムアップでも責任はトップに
ビジネスの変革や新しいシステムの導入などを計画する場合の多くは経営層からのトップダウンの提案や計画から始まり具体的な行動が進むのが一般的ですが、問題意識を持ったミドルやボトム層からの提案により行動が始まるボトムアップの文化を持つ組織も少なくありません。ビジネスの広い階層からの提案が生まれ、それらが採用される柔軟な組織文化は好ましいことであり、特に実務現場近くからの課題や問題提起は現実問題のニーズに近く、真の課題が広く取り上げられることはオープンマインドな組織としてビジネス変革の基盤を備えていると言えます。
行動の始まりがどこであっても、組織全体の課題として取り上げられたならば、全員が対等な立場で考え、議論し、行動の意思決定をしなければなりません。言い換えればそのプロジェクトの責任者は関連する組織のトップマネジメントであることを理解しなければなりません。組織として実行を同意した行動に対する責任は提案者ではなく実行を承認した組織の責任者であることの認識と、最善の対策を講じる責任があります。
企画部門が実務現場の課題ではなく、流行する情報や知識を基に机上の議論により変革の方針を提示する場面では、真に自分たちの組織に適合しているかを確認する必要があります。自分たちにとって真に必要な変革は何かを認識することが重要です。新しいビジネス概念や手法はその本質を理解して必要性の判断をすることが重要であり、新しい概念や技術の適用が自分たちにとって必ずしも良い結果を生むとは限りません。
重要なのは組織全体の協調と行動の整合性
ビジネスの基盤は人であることから、組織全体の人々の行動の整合性が重要です。トップマネジメントから現場の担当者までが同じ意識で同じ目標に向かって行動することが行動全体の効率を高めます。個々の参加者には多様な考え方がある中で、合意した一つの目標に向かって整合性のある行動に集中することが大切です。そのような行動から生まれるビジネスの品質は高く、一貫性があり信頼度も高いと言えます。常に組織全体の連携があり相互の合意が得られていることから実務上の障害も少なく、次の段階のさらなる変革への発想を生むことも容易になります。
実行する人々の「こころ」が成果を生み出す
最初に述べたように、人の意識は総ての行動の出発点です。行動しなければ何も生まれません。いかに高度な知識や技術を持っていても利用しなければ価値を生みません。一人でできることは限られています。多くの異なる知識と能力を組み合わせれば新たな能力が生まれます。わからないことは積極的に聞くことができます。不足する能力は外部から補間できます。異なる知識からは新たな発見があります。あらゆる能力を結集すれば能力は無限に広がります。綿密な計画により整然とした行動と連携から成果が生まれます。ビジネスには魔法はありありません。自ら行動することによって問題を解決し新たな価値が生まれます。
ビジネスは複雑な環境の中で動いており、その環境は絶えず変化しています。そのような中で多様な課題や問題が発生し、それらに対応しなければなりません。それを実行するのは意識をもって行動する人々の「こころ」です。組織のトップから実務の担当者までそれぞれの責任レベルに応じて課題や問題に対する高い意識があるほど、価値のある成果が期待できると言えます。実行する人たちが持つ能力は多様であり、相互に情報を共有して議論することが大切ですが、個人それぞれが自ら考えること、自分の意見を持つこと、明確な意思表示をすること、自らの態度を明確にすること、他人の意見を聴くこと、正しく理解すること、そして最後に合意された結論を尊重することがビジネスの基盤となります。そのうえで、自ら率先して行動することとともに他人を動かすことも大切です。さらに、必要な場合には変更を認める柔軟な判断ができることも大切です。このような「こころ」を持つ人たちの組織文化があれば、多くの行動が効率的かつ効果的に推進されるビジネスの基盤となります。
